森永ヒ素ミルク中毒事件の被害者や家族でつくる「森永ひ素ミルク中毒の被害者を守る会」の第50回総会が17日、神戸市中央区で開かれた。事件から63年、当時赤ん坊だった被害者は高齢者になろうとしており、健康問題や福祉支援のあり方の検討が一層重要になっている。
事件は1955年に発生。ミルク製造過程でヒ素が混入し、乳児130人が死亡し、約13000人に健康被害が出た。守る会と国、加害企業の森永乳業の三者で、被害者がいる限り救済を続ける「高級対策事業」が行われている。
この日は全国から被害者ら約200人が出席。冒頭、守る会の桑田正彦理事長が「親たちが始めた守る会の活動は被害者に引き継がれた。今後も仲間同士のネットワークを構築していきたい」とあいさつ。総会では、今後の救済事業や関係団体との連携強化などが話し合われた。
また、事件発生直後に「ない」とされた後遺症があることが後に判明した69年の「14年目の訪問」で、故・丸山博大阪大教授らと一緒に被害者の追跡調査をした宝塚市の元養護教諭、大塚睦子さん(86)=写真=も登壇。「追跡調査は丸山先生の叱咤激励があってこそできた。訪問したどの家庭どの家族も苦しみや『許せない』という思いを抱えていた」と当時のエピソードを披露した。[三野雅弘]