2024年度運動方針第一次案

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2024年度運動方針第一次案

2024年度運動方針第一次案
 

2024.2.18 第4回常任理事会

 1.はじめに

(1)1974年4月に開始された被害者救済事業は50年を経過した。当初は「今後の展望に明確な見通しを有する人はなく、それがきわめて困難な道程であろうことを否定する人もいません」(1974年度守る会運動方針より)という厳しい状況からスタートした救済事業であった。その展望を切りひらくことができたのは、何よりも守る会が唯一の被害者団体として活動し続けてきたことによるものである。この50年間、国、森永、守る会の三者の協力関係を築きあげ、専門家の協力も得て、救済事業を維持し発展させることができた。
 これらの関係者及び協力専門家の方々に対し、謝意を表明するとともに、今後も守る会の活動を強化し、最後の一人まで救済事業を存続させるという決意を表明するものである。

(2)被害者の多くが70歳を目前にしている。この間、世界を震撼させた新型コロナウィルスだけでなく、地震や洪水による自然災害などによって、人々の命、健康や生活がおびやかされている。連帯して健康を守り合うという守る会の役割がこれからも重要である。

(3)昨年から今年にかけて、国内の自動車メーカーが乗用車の衝突試験等で不正行為をおこなっていたことが明らかになった。人命にも関わる深刻な不正行為であり、そういう企業風土をつくった経営陣の責任が問われている。ひ素ミルク中毒事件の被害者団体として、人命を軽視する企業や社会に対し警鐘を鳴らさなければならない。特に森永乳業に対しては、引き続き安全・安心な商品を生産・流通するように求めていく。

 

2.救済事業の推進に責任をもつ活動

(1)「終生にわたる事業と運営・体制の構想」(案)の検討

 ひかり協会による被害者救済事業の終盤をどのようにするのかについて、「終生にわたる事業と運営・体制の構想」に係る守る会の提言を尊重して作成された「終生にわたる事業と運営・体制の構想」(案)(以下、「構想」(案))に対して積極的な協議を行い、2024年5月のひかり協会理事会において、守る会等の意見を踏まえた修正版「構想」(案)が決定された。引き続き、唯一の被害者団体である守る会として、責任をもって検討する。2025年1月の最終意見集約に向けて、約50年間にわたる「三者会談方式」による救済事業をより深く学び、修正版「構想」(案)の個々の項目に対する賛否だけでなく重要な内容についてはどのように具体化を図るかなど、より積極的な意見を提起する姿勢で検討を行う。

 確認書締結から今日まで、その三者は全面的に救済事業に協力し、責任を果たしてきた。特に守る会は、救済の「受け手」としてだけでなく主体性をもって積極的に救済事業の推進の役割を果たしてきた。救済事業の終盤についても、あらゆる機会を通じて主体的・積極的に意見を提出することで守る会の責任を果たすこととする。

 

(2)第三次10ヵ年計画の推進

 ① 2つの重点事業への協力

 今年度は第三次10ヵ年計画前期4年目であり、「40歳以降の被害者救済事業のあり方」及び「金銭給付基準」、さらに2つの援助要綱に基づく重点事業を中心に取り組まれている。各都府県本部は「事業推進の軸」(二者懇談会及び救済事業協力員)の活動を通して、より主体的に事業推進に取り組む。事業の実施にあたっては、引き続き新型コロナウイルスに留意しながら検討を行うが、徐々にコロナ禍前の事業となるよう組織的に協力する。

 自主的グループ活動については、コロナ禍で延期になっていた計画を実施したり、障害のある被害者の参加もみられるようになったりと、コロナ禍以前に戻りつつある。心身の健康づくりや社会参加の機会が少ない障害のある被害者に対する近隣への外出支援など意義のある取組であるため、オンラインでの実施なども含めて工夫しながら取り組む。

 ふれあい活動についても、入所施設のなかには面会や外出の制限が残っているところも一部みられるが、仲間同士のつながりを深め、障害のある仲間の生活や思いを知る機会として重視して取り組む。

 「対策対象者名簿」に被害者の名前を登載する取組は、事件の風化防止とともに、高齢化に備えて行政による適切かつ有効な相談対応が行われるための重要な取組である。引き続き個人情報の保護に留意しながら、全会員の登載をめざす。

 2025年5月に実施が予定されている実態把握調査の結果は、その後の救済事業に極めて重要な影響を及ぼす性格を持っている。そのため、守る会は全会員の回答をめざし、さらに他の被害者にも協力員による「呼びかけ」活動などを通じて回答を求めることとする。

 ② 救済事業協力員活動

救済事業協力員制度要綱に基づき、健診(検診)受診や事業参加の勧奨、健康や日常生活についての話題交流など、被害者同士の対話をより重視して取り組む。協力員研修会議では、「構想」(案)に対して理解を深めるとともに、今後の協力員活動について積極的に協議することができた。また、「呼びかけ」活動で体調変化を把握した協力員からの情報を基に、地区センター事務所が本人の病状を把握して対応できた事例もみられた。これらは、守る会の組織的協力の成果であり、三者会談確認書に基づく救済事業推進の役割と責任を果たす貴重な取組である。積み上げてきたこれらの経験を活かし、「連帯して健康を守るネットワークづくり」を推進する。

(3)現地事務所の事務局運営に対する協力

 近年、多くの協会現地事務所で管理職をはじめとする経験年数の多い職員が退職し、新人職員に交替している。救済事業を維持し発展させるために、守る会は組織として事務局の運営に協力する。そのため、

① 現地二者懇談会やブロック二者懇談会に出席し、守る会の方針・意見、被害者の声  を積極的に伝える。特に、経験年数の少ない職員に対しては、事業と運動についてていねいに伝え、被害者救済の精神を引き継いでもらうように働きかける。

② 現地交流会や協力員研修会議の開催にあたっては、守る会としての意見をもとに主体的な協力をする。

③ 地域救済対策委員会には、守る会組織を代表する立場で出席し、運動方針や常任理事会決定に基づく意見を述べる。

④ 地区センター長(センター長代理)による事務所運営に協力する。

 

3.「三者会談」構成団体の信頼に基づく協力関係の強化

(1)行政協力

 守る会は「三者会談」及び「三者会談」救済対策推進委員会において、三者会談確認書に基づく行政協力を要請していく。特に、救済事業の実施と深く関連する保健医療制度、障害者総合支援法施策、介護保険制度などの充実や介護保険優先原則に係る課題の解決、対策対象者名簿登載の被害者からの相談があった場合の市区町村における適切な対応が行われる仕組みづくりなどについて、厚生労働省に協力を引き続き要請する。また、森永ミルク中毒事件全国担当係長会議では、市区町村の窓口課が他の関係部署(保健所・介護保険担当課・生活保護課など)と連携して、健康課題や生活課題などに取り組んだ事例が報告されている。対策対象者名簿登載の被害者からの相談対応が適切に行われるためにも、森永ミルク中毒事件全国担当係長会議が充実するように、ひかり協会と協力して行政協力の仕組みづくりを推進する。

 都府県本部の活動では、引き続き都府県等の行政協力懇談会に役員が出席し、事件の風化防止の取組とともに、高齢期の健康や介護の課題や障害のある被害者の抱える課題の改善、対策対象者名簿に基づく保健所及び障害福祉・高齢福祉などの関係課との連携などについて、ひかり協会とともに行政協力を要請する。

(2)森永乳業との協力関係

森永乳業に対しては、引き続き三者会談の調印団体として救済事業の完遂に責任を持つことを求めると同時に、救済事業推進に協力し合う関係を維持する。

  •  森永と守る会による二者協議の場で、救済事業についての理解と協力を求める。
  •  森永製品の安全・安心のため、社内での事故防止及び意識向上の取組強化を要請する。
  •  引き続き守る会役員が社内研修に協力し、社内における事件の風化を防ぐとともに救済事業に対する森永の責任について理解を広げる。

④ 2025年の「70周年記念式典・合同慰霊祭」(仮称)の開催準備に協力して取り組む。

(3)専門家の理解と協力

 障害のある被害者への相談対応や事例検討、検診結果に対するフォロー、高齢期の健 康課題に対するアドバイスなど2つの重点事業の取組の具体化に向けて、約300名にのぼる専門家による助言や協力は極めて重要である。

 地域救済対策委員に推薦された守る会委員は、協力員活動や自主的グループ活動など守る会の事業推進に対する取組状況や修正版「構想」(案)に対する守る会の検討状況などの説明に責任を持つことで、関係する専門家の事業に対する理解と協力を促進させるよう取り組む。 

4.組織強化の取り組み

(1)全国本部の強化

 2024年度は、恒久救済を展望した修正版「構想」(案)の協議が最も重要な組織課題のひとつとなる。そのため、その討議を通じて三者会談方式に基づくこれまでの救済事業に確信を深め、全国単一組織としての常任理事会の組織強化を図る。

(2)都府県本部及び支部の強化

 全国本部と同様に修正版「構想」(案)の討議を通じて、都府県本部・支部の組織強化を図る。規約の「会員の友愛と連帯、互助の精神で団結し、交流と親睦をはかる活動」として、支部活動や自主的グループ活動、ふれあい活動を重視する。

(3)会員拡大

 被害者の高齢化に伴い、死亡会員が徐々に増加している状況にあって、恒久救済を展望するうえで、被害者の入会促進は守る会の最も重要な組織課題のひとつとして継続している。そのため、2024年度も協力員による「呼びかけ」活動や現地交流会を通じて、アンケート①被害者の過半数会員の入会を全都府県本部でめざす。

(4)学習

    運動方針に基づく活動の促進を図るため、歴史学習版等に加え、2025年3月に決定される「構想」の理解を深める。救済事業と現行の社会保障制度の関係では、保療・福祉・介護などの事業について、二者懇談会での学習も含め理解を深める。さらに地域の状況に即して、他の障害者団体等との連携した取組を検討する。

(5)財政

 全国本部及び都府県本部は、安定して財政運営をめざす。また、新たに開始する会費免除申請の受付と承認を滞りなく行う。

(6)広報 

 2023年度は、新型コロナウイルス感染症の分類が2類から5類に移行したため、多くの都府県本部で対面による支部活動や自主的グループ活動、ふれあい活動が再開された。その活動報告の投稿により、機関紙「ひかり」の毎号の紙面が多彩な構成となった。

 2024年度は、修正版「構想」(案)の検討などが予定されており、積極的な都府県本部活動の投稿をめざす。

 ホームページによる事件と救済事業、守る会運動の理解促進に取り組む。 

 ひかり協会会報での「守る会からのお知らせ」を継続する。

 都府県本部の広報紙等の発行を促進する。   

 

「14年目の訪問」40周年記念シンポジウムの記録画像を配信中
 (「事件と被害者救済」の一番下のページを開いてください。)

 
ひかり協会ホームページもご覧ください

    http://www.hikari-k.or.jp/

 

● 60周年記念冊子(還暦記念誌)500円で頒布中。お申し込みは、06-6371-5304(守る会 平松)まで。どなたにでもお分けします。

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