2026年度運動方針第一次案
2026.2.15 第4回常任理事会
はじめに
(1)「三者会談方式」に確信をもち恒久救済完遂
昨年の「70周年記念式典・合同慰霊祭」は、開催を通じて関係者間の信頼を高める役割を果たした。具体的には、厚生労働省による行政協力がより促進されたり、協会理事・職員と守る会役員の相互の信頼関係が強まったりするなどの成果が生まれた。
また、複数のメディアに事件と救済が取り上げられることによって、「14年目の訪問」当時の協力専門家の献身的な活動や現在の被害者の様子と救済事業の実施状況などが広く知られた。
親たちが選択した「この子らには恒久的な保障を」という方針が国民から支援され、被害者団体と国と加害企業がそれぞれの立場で責任をもって救済に協力することが確認され今日まで事業が継続・発展してきた。この「三者会談方式」に確信をもって、この先も恒久救済完遂に向けて進んでいくことを誓い合おう。
(2)高齢になった被害者の生活と健康を守る取組
世界情勢は不安定さが増し国内では物価高騰が進み、高齢になった被害者の生活不安は高まっている。特に障害や健康不安のある被害者にとっては、高額療養費の自己負担限度額の引き上げやOTC類似薬の追加負担が検討されるなど、今後の負担増に対する心配が大きくなっている。被害者の生活と健康を守るために、「三者会談」等で保健医療制度の拡充を求める。
すべての被害者が70歳を超え、これまで大きな健康不安がなかった人にも様々な病気・介護等の問題が発生している。ひ素ミルクに起因する幼少期からの障害・症状などに対応するための救済事業実施を基本としつつも、高齢になったすべての被害者の健康や生活の維持ができるように、ひかり協会の相談事業による援助がされるよう配慮を求める。
1.「第三次10ヵ年計画後の守る会組織活動」(案)の検討
守る会運動と組織を親の世代から被害者世代が引き継ぎ、今日まで「三者会談方式」による救済事業を守り発展させることができた。これは親たちが作り上げた全国単一組織を守り続けたことと、国、森永、守る会の三者が誠実に協力しあったことによる誇るべき成果である。
その成果を踏まえた上で守る会は、「第三次10ヵ年計画後の守る会組織活動」(案)について議論を開始している。当初の「将来的な守る会活動について」においては、「2036年頃に守る会の組織的協力(「三者会談」への出席、ひかり協会の機関・運営への組織的協力など)は行わない。2040年(85歳)頃までの適切な時期をもって、守る会は解散する」としており、ひかり協会が昨年決定した「終生にわたる事業と運営・体制の構想」(以下、「構想」)とは内容が異なったままである。そのため、「構想」を踏まえて本部役員・都府県本部組織・特別会計・会費など、第三次10ヵ年計画終了後の組織活動について検討する必要がある。
全国本部が作成した案を各都府県本部で十分に検討したうえ、2027年度総会で決定することを目指す。
2.救済事業の推進に責任をもつ活動
(1)「移行計画」(案)の検討
「構想」には、「「構想」に基づく運営・体制を確実かつ円滑に具体化するため、2026年度に細部にわたる「移行計画」(案)を作成し、関係者からの意見を求めたうえで2026年度末に決定する」と明記されている。それを踏まえて、ひかり協会理事会は2026年3月に、被害者に対する救済事業を滞りなく継続的に実施するため、主にひかり協会の運営・体制の移行が必要となる時期や移行の内容などを明確にした「構想」に基づく「運営・体制の移行計画」(案)(以下、「移行計画」(案))を作成した。
守る会は、ひかり協会による前人未踏の被害者救済事業の終盤をどのようにするかについて責任を持つ立場からも、「第三次10ヵ年計画後の守る会組織活動」(案)の検討と併せて、主体的かつ積極的に「移行計画」(案)の検討に参加する。また、「移行計画」(案)の検討を通して、恒久的な救済事業についての理解を深めることとする。
(2)第三次10ヵ年計画の推進
① 2つの重点事業への協力
2026年度は第三次10ヵ年計画後期2年目であり、「40歳以降の被害者救済事業のあり方」及び「金銭給付基準」、さらに2つの援助要綱に基づく救済事業が取り組まれている。各都府県本部は「事業推進の軸」(二者懇談会及び救済事業協力員)の活動を通して、より主体的に事業推進に取り組む。
自主的グループ活動については、心身の健康づくりや社会参加の機会が少ない障害のある被害者に対する近隣への外出支援など意義のある取組であるため、オンラインでの実施なども含めて工夫しながら取り組む。
ふれあい活動については、障害者施設やサービス付き高齢者向け住宅等で生活している被害者への訪問などが行われるようになったが、参加した守る会役員や協力員が障害のある被害者とのつながりを深め、障害のある被害者を孤立させない活動として重視して取り組む。
「対策対象者名簿」に被害者の名前を登載する取組は、事件の風化防止とともに、高齢化に備えて行政による適切かつ有効な相談対応が行われるための重要な取組である。個人情報の保護に留意しながら、引き続き全会員の登載をめざす。
② 救済事業協力員活動
改正された「救済事業協力員制度要綱」に基づき2026年度以降の協力員活動についての理解を深めたうえで、健診(検診)受診や事業参加の勧奨、健康や日常生活についての話題交流など、被害者同士の対話を重視して取り組む。積み上げてきたこれらの経験を活かし、「連帯して健康を守るネットワークづくり」をさらに推進する。
「被害者実態把握調査2025」の返送率は %にまで達することができた。この高い返送率は、「今後の事業に活かしてほしい」という被害者の願いの表れであると同時に、協力員の「呼びかけ」活動の成果でもある。
これらの協力員活動は、守る会の重要な組織的協力であり、三者会談確認書に基づく救済事業推進の役割と責任を果たす取組であることに確信をもち、引き続き積極的に取り組む。
(3)現地事務所の運営に対する協力
現地事務所において、被害者の意見要望を踏まえた事業実施がされるようにする。また、現地事務所職員が守る会運動について十分に理解し、将来の守る会活動への必要な協力が得られるようにする。そのためにも、守る会は組織として現地事務所の運営に以下のとおり協力する。
① 現地二者懇談会やブロック二者懇談会に出席し、守る会の方針・意見、被害者の声を積極的に伝える。
② 現地交流会や協力員研修会議の開催にあたっては、守る会としての意見をもとに主体的な協力をする。
③ 地域救済対策委員会には、守る会組織を代表する立場で出席し、運動方針や常任理事会決定に基づく意見を述べる。
④ 以上の取組等を通じて、すべての職員が三者会談確認書の精神と恒久救済の理念を引き継げるように働きかける。
3.「三者会談」構成団体の信頼に基づく協力関係の強化
(1)行政協力
守る会は「三者会談」及び「三者会談」救済対策推進委員会において、三者会談確認書に基づく行政協力を要請していく。特に、救済事業の実施と深く関連する保健医療制度、障害者総合支援法施策、介護保険制度などの充実や介護保険優先原則に係る課題の解決、対策対象者名簿登載の被害者からの相談があった場合の市区町村における適切な対応が行われる仕組みづくりなどについて、厚生労働省に協力を引き続き要請する。
また、森永ミルク中毒事件全国担当係長会議では、市区町村の窓口課が他の関係部署(保健所・介護保険担当課・生活保護課など)や地域包括支援センターなど関係機関と連携して、健康課題や生活課題などに取り組んだ事例が報告されている。対策対象者名簿登載の被害者に対する相談対応が適切に行われるためにも、森永ミルク中毒事件全国担当係長会議が充実するように、ひかり協会と協力して行政協力の仕組みづくりを推進する。
都府県本部の活動では、引き続き都府県等の行政協力懇談会に役員が出席し、事件の風化防止の取組とともに、高齢期の健康や介護の課題や障害のある被害者の抱える課題の改善、対策対象者名簿に基づく保健所や障害福祉・高齢福祉などの行政及び地域包括支援センターなど関係機関との連携促進について、ひかり協会とともに行政協力を要請する。
(2)森永乳業との協力関係
森永乳業に対しては、引き続き三者会談の調印団体として救済事業の完遂に責任を持つことを求めると同時に、救済事業推進に協力し合う関係を維持する。
① 森永と守る会による二者協議の場で、救済事業についての理解と協力を求める。また、「第三次10か年計画後の守る会の組織活動」についての理解を求める。
② 森永製品の安全・安心のため、社内での事故防止及び意識向上の取組強化を要請する。
③ 引き続き守る会役員が社内研修に協力し、社内における事件の風化を防ぐとともに救済事業に対する森永の責任について理解を広げる。
(3)専門家の理解と協力
障害のある被害者への相談対応や事例検討、検診結果に対するフォロー、高齢期の健康課題に対するアドバイスなど2つの重点事業の取組の具体化に向けて、約300名にのぼる専門家による助言や協力は極めて重要である。
地域救済対策委員に推薦された守る会委員は、協力員活動や自主的グループ活動など守る会の事進推進に対する取組状況や「移行計画」(案)に対する守る会の検討状況などの説明に責任を持つことで、専門家の事業に対する理解と協力を促進させるよう取り組む。
4.組織強化の取り組み
(1)全国本部の強化
2026年度は、従来の活動に加えて、「第三次10ヵ年計画後の守る会組織活動」(案)や「移行計画」(案)の討議が重要となる。そのため、これらの重要課題について、常任理事会において学習・討議を深め、常任理事の指導責任を重視した全国本部の組織強化を図る。
(2)都府県本部及び支部の強化
前項の2つの重要課題は、直接的に個々の会員の組織活動や救済事業に関連している。そのため、都府県本部及び支部でも討議を深める。また、協力員による「呼びかけ」活動や自主的グループ活動、ふれあい活動を重視する。
これらの活動を通じて都府県本部及び支部の強化を図る。
(3)会員拡大
会員拡大の取組を継続し、2025年度は新たに36名の被害者が入会した。現在、被害者が70歳を超えているがさらに今後の恒久救済事業を展望し、引き続きアンケート①被害者の過半数会員の入会を全都府県本部でめざす。そのため、2026年度も協力員による「呼びかけ」活動や現地交流会を通じた入会促進を重視する。
(4)学習
2026年度は、従来の活動に加え、「第三次10ヵ年計画後の守る会組織活動」(案)の討議が重視されている。そのため、関連する歴史学習版や保健・医療・福祉・介護等の社会保障制度の学習に取り組む。さらに地域の状況に即して、他の障害者団体等との連携した取組を継続する。
(5)財政
全国本部及び都府県本部は、会費免除申請も含め、安定した財政運営をめざす。会議のWeb開催等により支出の減少が図られるが、会費収入が減少し、還元金支出が増加するため、2026年度は特別会計を取り崩し収入の不足分を充当する。
(6)広報
2025年度は、多くの都府県本部で支部活動や自主的グループ活動、ふれあい活動が取り組まれた。その活動報告の投稿により、機関紙「ひかり」の毎号の紙面が構成された。2026年度も積極的な都府県本部活動の投稿をめざす。
ホームページによる事件と救済事業、守る会運動の理解促進に取り組む。
ひかり協会会報「ふれあい」での「守る会からのお知らせ」を継続する。
都府県本部の広報紙等の発行を促進する。
